
タイミング療法で妊娠!
これに越したことはありません。
しかしそれほど簡単なことではありません。
タイミング療法で妊娠・出産に成功したカップル/上手くいかなかったカップルの背景には何か違いがあるのでしょうか?
お隣・韓国からの最近の報告に基づいてお話しします。
2017年から2019年に超音波による卵胞チェックを定期的に行いながら、タイミング療法に臨んだ285カップル(854治療周期、女性年齢27‐43歳)を対象とした後ろ向き研究です。

全体の妊娠率はカップルあたり28.1% (80/285) 、治療周期あたり9.4% (80/854)でした。
妊娠に成功したカップルでは、上手くいかなかったカップルに比べて
- 女性のBMIが高い
- 排卵障害の割合が高い
- 不妊期間が短い
- 血清FSH濃度が低い
- AMH濃度が高い
という特徴がありました。
反対に上手くいかなかったカップルでは、
- 不妊期間が2年以上
- 女性に子宮内膜症がある
ことが挙げられました。
累積妊娠率を見ると、特に最初の3周期目まで増加し、6周期目まで増加傾向にありました。それ以降は、増加しませんでした。
累積出産率については、特に最初の3周期目まで増加し、4周期目まで増加傾向にありました。それ以降は増加しませんでした。
この研究結果から、
- 不妊期間が2年以上、女性に子宮内膜症のあるカップルでは早期にステップアップが推奨されること
- タイミング療法の上限目安は最大3‐4周期で、それ以降は大きな期待ができないこと
が明らかになりました。
バイアスが混入しやすい後ろ向き研究である点は割り引かなければなりませんが、同じ東アジアからの参考になる報告であるため、紹介させて頂きました。
ご参考になれば幸いです。
出典:So Hyun Ahn et al., Front Endocrinol (Lausanne). 2021 Apr 15:12:650883.
<ブログ記事の監修者>
北宅弘太郎(KOUTARO KITAYA)
医療法人倖生会 桂駅前 Mihara Clinic 院長
専門医:生殖医療専門医・産婦人科専門医